日本酒は、華やかで深みのある味わいで多くの人を魅了するお酒です。
さまざまな特長と魅力をもった日本酒が全国津々浦々にあり、その数は約20000種類にも及びます。日本酒の飲み方も多様で、飲み方によってまた違う日本酒の味わいを楽しむことができます。
そこで今回は、日本酒初心者にもおすすめの日本酒の飲み方をご紹介します。
日本酒の種類
日本酒の名称には、複数の分類があります。日本酒の種類が多様化したことにより、その名称も増えたのです。
日本酒は大きく分けると、純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒、特別純米酒、吟醸酒、大吟醸酒、本醸造酒、特別本醸造酒の8種類に分けることができます。
これらの種類を、特定名称酒といいます。
特定名称酒の分類
特定名称酒は、原料やお米の精米歩合によって分類される日本酒のことです。日本酒のラベルをみて、「純米」「大吟醸」などの記載があるものが特定名称酒です。
この特定名称酒は、酒税法において以下の図の基準に従って分類されます。
※1精米歩合・・・白米のその玄米に対する重量のことです。例えば「精米歩合70%」と書かれた日本酒であれば、玄米の状態から30%を削り、残りの70%を日本酒に使用したということになります。
※2醸造アルコール・・・でん粉質物や含糖質物を原料として発酵させて蒸留したアルコールのことです。
※3吟醸造り・・・吟味して醸造することをいいます。伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして特有な芳香を有するように醸造することをいいます。
参考:国税庁課税部酒税課「酒のしおり(平成30年3月)」
純米酒と本醸造酒の違い
純米酒の日本酒と本吟醸酒の日本酒では、その味わいが大きく変わります。そのため、この2種の日本酒によって、人それぞれその好みは分かれます。
純米酒と本醸造酒には、日本酒選びの基準ともなる大きな違いがあるのです。
純米酒とは
純米酒とは、原材料が白米100%、米こうじ、水のみの天然素材だけで作られるお酒のことです。その中でも吟醸酒や吟醸造りは、磨いたお米を長時間低い温度で発酵して作られるため、手間が非常にかかったお酒です。
純米酒も吟醸系の純米酒も米の旨みと香りを楽しむことができ、コクやふくよかさが強い濃醇タイプの日本酒が多く見られるのが特徴です。吟醸系のほうが香りが華やかでスッキリした飲み口で、純米酒のほうがどっしりしたボディの深みのある味わいの種類が多くなります。
本醸造酒とは
本醸造酒とは、純米酒に醸造アルコールを加えた日本酒のことをいいます。醸造アルコールによって味のバランスが安定しており、価格が安いためポピュラーな日本酒となっています。
純米酒よりも淡麗でまろやかなものが多く、キレのある味わいが特徴です。どの本醸造酒も味のバランスが整っているため、初心者にも飲みやすいのも魅力です。特別本醸造酒になると、さらに米を磨いているため雑味のない味わいに仕上がっています。
日本酒の飲み方
日本酒には多くの種類がありますが、その飲み方も多様です。同じ日本酒でも飲み方を変えることで、味わいが変化したり深みが増したりします。個性的な飲み方も誕生し、飲み方の好みは人それぞれです。
多様化する日本酒の飲み方の選択肢をいくつかご紹介します。
飲み方1:日本酒の温度を変える
日本酒の飲用温度を変えることで、日本酒の旨みをさらに引き出すことができます。温度によって味わいが変化し、香りも引き立ちます。
基本は、温度によって「冷酒」「常温」「燗酒」の3種類に分けられています。
このように、日本酒の温度によって呼び名が異なり、さまざまな飲み方の種類があります。季節や好みによって、日本酒のたくさんの表情を楽しむことができるのです。
また、日本酒の温度は日本酒の種類によっても相性の良し悪しがあります。吟醸酒は燗酒にするとクエン酸のバランスが崩れてしまうため、高めの温度で飲むのには向きません。ただし、香味が穏やかな吟醸酒はぬる燗から味のバランスを崩さず楽しむことができます。
本醸造酒や純米酒は、乳酸やコハク酸などの成分が温められることで独特の旨みが増すため、燗酒にしても美味しくなります。この2種類の日本酒は、温度によってその味わいの変化を楽しむことができます。
飲み方2:オン・ザ・ロックスにする
ロックグラスに大きめの氷を入れて、ウィスキーのようにロックスタイルで日本酒を味わう飲み方です。冷たさを長時間キープすることができ、氷が溶けることで飲みやすい濃さに調節することも可能になります。
あまりなじみがない飲み方ですが、暑い夏の日に日本酒をキンキンに冷やせばやみつきになること間違いなしの飲み方です。純米酒や原酒、生酒などにおすすめの飲み方です。
飲み方3:みぞれ酒にする
みぞれ酒とは、日本酒を凍らせてシャーベット状にしたものをいいます。
通常日本酒は、-7℃~-10℃で凍ってしまいます。しかし、ゆっくり徐々に冷やしていくことで凍るはずの温度でも液体の状態を保ちます(これを過冷却といいます)。この状態から、冷やしたグラスに注ぐと一気に氷結してシャーベット状になるのです。
個性的な飲み方ですが、夏のシーズンにみぞれ酒にすると清涼感溢れる日本酒を堪能できます。
飲み方4:日本酒のカクテルにする
日本酒はそのまま飲むイメージが強いですが、カクテルにしてもまた異なる味わいを楽しむことができます。
日本酒を使用したカクテルは非常に多くの種類がありますが、そのなかでもおすすめの日本酒カクテルを5つ紹介します。
サムライロック
日本酒とライムジュースを使用した簡単に作れるカクテルです。ライムの酸味でさっぱりした口あたりになり、日本酒独特の匂いが苦手な方でも楽しめるカクテルです。
清流
日本酒にブルーキュラソー、レモンジュース、ライムジュースを入れて作るカクテルです。酸味が強く、日本酒の風味を活かしたカクテルです。
サケティー二
ドライブジンとオリーブ(または梅干し)を使って作る日本酒のカクテルです。カクテルのマティーニをベースに誕生したカクテルで、マティーニに入れるドライベルモットを日本酒に変えたカクテルです。
サケトマンジーナ
日本酒とトマトとオレンジジュースを使用した一風変わったカクテルです。塩コショウをふりかけるのもポイントで、スパイシーで飲みやすい仕上がりになります。
紅茶と日本酒のカクテル
日本酒と紅茶を合わせることで、日本酒の甘みを楽しめるカクテルです。紅茶ベースなので飲みやすく、口あたりが良いのが特徴です。
「和らぎ水」を忘れずに!
日本酒を飲む際に忘れてはいけないのが、和らぎ水です。これは、日本酒の合間に飲む水のことを指します。西洋のアルコールを飲む際にはチェイサーとも呼ばれるものです。
日本酒の間に和らぎ水をはさむことで悪酔いを防ぎ、2日酔い予防にもなります。量は、飲んだ日本酒の量の1.5倍程度が良いとされます。
和らぎ水は、日本酒を上手く楽しむために重要な役割を果たすものなのです。
まとめ
日本酒の飲み方は多様で、選択肢は数多く存在します。
日本酒は、製法によってその味わいに変化が生まれ、その日本酒にしかない深い旨みが作り出されています。日本酒の飲み方を変えることで、こうした旨みを存分に引き出すことができます。
飲み方を少し工夫するだけで今まで味わったことのない日本酒の魅力を知ることができるはずです。
ぜひ、多様な日本酒の飲み方を試して、日本酒の楽しみ方を増やしてみてください。